年齢を重ねるごとに衰えを感じることが増える。
近頃とんと出来なくなったことの一つに長時間の移動がある。大学生の頃は金額と時間を優先して大阪ー東京間の移動は夜行バス一択だったというのに、10年の時を経て僅かな金銭的余裕に甘んじて新幹線を使うようになった。
出来なくなったというにはまだ致命的ではないが、やはりめんどくささや疲労、寒さを天秤にかけるとどうしても楽な方を選んでしまう。私へ、今年の目標は倹約であることを忘れてはいけませんよ?
それはそうと新幹線であろうと夜行バスであろうと、大阪から到着するのは東京駅である。思い返してみれば移動の始点、終点として利用することはあれど周辺をじっくり回ったことがない。
今日は皇居の方へ行ってみる。
思えば電車を降りて丸の内口へ出るのは初めてだ。丸の内はサディスティックの枕詞くらいの認識しかないが目に飛び込むビル群はオフィス街らしさを主張している。
東京のビル群にはいつも圧倒される。大阪の街並みも比較的発展しているとは思うが、オフィス街のスケールは敵わないなと来るたびに感じる。
同時に驚くべきはやはり道の広さか。随分と空間を贅沢に使っている。8車線を跨ぐ長い横断歩道を越えれば皇居外苑が見える。
ひとまず右手に見える橋が気になり渡ってみると和倉噴水公園にたどり着く。夏であれば小さな子供たちがびしょ濡れになって走り回っているだろうところが容易に想像できる。と思ったが庶民の想像なのでこの辺りに住む高級な方々はそうするのだろうか?夏に来て確かめてみたいが照り返しが強そうな石畳だ。やめておこう。
公園を突っ切り入園無料の東御苑へと向かう。
東御苑は旧江戸城の跡地を整備して造られた庭園だそうだ。石垣や扉、天守台や番所など城らしさを感じる場所がたくさんある。にしてもやはり広い。数時間で一通り回ることはこの辺りで無理だと気付くがそれはそれで行く先が決まるので良いこと。外苑へ向かうべく来た道を戻ろう。
広い。
広い。
広い。
目眩がしそうだ。
橋の先は一般には立ち入ることの出来ない場所のようだ。厳重な警備体制が敷かれている。詰所の門番は微動だにせず持ち場を守っている。
寒空の下、自らの責務を全うする姿は凛々しく。しかし、彼も煌びやかな制服の下にヒートテックを着ているのかと想像すると急に親近感が出てきた。コスパならユニクロだがモンベルのスーパーメリノウールも暖かくてオススメだ。制服的にハイネックが許されそうにないがラウンドネックもあるので安心してほしい。
楠木正成象。躍動感のある造形。勇敢な姿を尻目にベンチで少し休憩をし、日比谷公園へ。
小さな丘かと思えばれっきとした山だそうな。その名を三笠山と言う。登頂には1分とかからず、最高峰には人差し指でスマホに円を描く集団が。目が合わなかったのでバトルは始まらなかった。
雪吊りといえば金沢の兼六園が思い出される。東京も先日のような大雪がある地域なのでいくつか見ることのできる庭園があるようだ。和の趣。
駅に戻ってみれば駅舎がビルの影に隠れる時間。早い時間に全景を撮っておけばよかった。またの機会に。
おまけ
堀の鳩
影絵の雀
良い扉