目が覚めた時に布団から出たくないのは、内外の暖かさと寒さ、快、不快のコントラストによるものだ。
背筋を走る悪寒と羽毛の手触りは違うようで同じものなのかもしれない。
朝早く起きて出かけようといつも思う。いつもいつもいつも。本当にそう思っている。が、世の中にはどうしようもないことも多々あるのだ。
久しぶりに陽気に満ちて小春日和と言っても差し支えない天気。長らく眠らせていたバイクにまたがり道を進むがナビが示す予定運転時間は1時間弱。時間は14時。
やめた。近所で済まそう。滝畑ダムへはまた今度にしよう。
自分で決めた目標を投げ出すと人との約束を破った時よりは罪悪感は小さいが少しだけ長く尾を引く気がする。妥協案をしっかり消化することで言い訳を用意するのが吉だ。
大和川は奈良県から始まり大阪湾へと注ぐ川だ。大阪市からこの川を越えて少し進めば堺市だ。小さい頃から大阪に住んでいるとは言え、南の方はあまり馴染みがない。自分で意識して渡ったのは初めてかもしれない。
様々な種類の工場の隙間には外壁が色の褪せたホテル、漆喰のひび割れた軒の低い民家、大きく角ばった老人ホームがあり河川敷のテニスコートはネットが撓んだままだ。
川辺へと降りていくにつれてゴミが多いことに気づく。多種多様なモノたちが自己主張しながらも都会の川沿いらしく風景に馴染んでいる。
水量の多い時には川底に沈むからなのか、踏み固められていない砂地に足を取られる。
彼らはどこからやってきてどれくらいここにいるのだろう。どこへ向かうのだろう。と、もしかすると後世に残るかもしれない絵画を描けそうな所感を持ってみる。
人工物である彼らは我々が生み出し、長くとも数年単位という刹那をここで過ごし、バラバラに砕けて消えていくのだろう。私がその全てを見届けることはない。なぜなら夕食までには家に帰るからだ。
今晩の献立は何だろうか。
枯れたススキの中で目立つムラサキ。人工物に囲まれた自然物。ここでは二重の意味で浮き立った存在かもしれない。
おまけ
影で自撮り with 金の微糖