両親の還暦祝いにこんぴらさんと直島に行ってきました

気づけば30歳を過ぎて一年が過ぎて、世間から見れば少しずつ若者の枠から外れていくことにじわじわと実感が湧いてくる2021年の年末。着実に時間が流れているのは私だけではなく、父と母も今年で60歳になる。感染状況もすこし落ち着きを見せている隙を見てお祝いも兼ねて家族旅行と洒落込むことにした。

節目になるタイミングで家族写真を撮るのが我が家の慣例ではあったが、母の提案によりエモい写真を撮る任を与えられた。そうとなれば技術のない私にはロケーションに頼るしかろう。瀬戸内の美術館も回りたいという欲張りさから時間との戦いとなった今回の日程は少し忙しいものになったが長い車内での時間で家族の仲を深めるには良い時間となった。

我が家の旅行は車での移動が基本だ。大阪から香川までの行程は4時間近くなる長丁場。運転は私と父の二人。幼い頃は後部座席で姉と二人歌を歌いながら呑気に過ごしていたが大人になってみると父の運転の負担がとても大きいものだということに気づく。正直なところ私は一人で全て運転するとなるとちょっとめんどくさいなと思ってしまうが、父の負担を少し軽くすることができるようになったと思うと30過ぎにして成長が見えるのではないだろうか。

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香川に入ったところで山の形の綺麗さに気づいた。生粋の東大阪市民である私にとって最も馴染みのある山は生駒山である。大阪と奈良を分つ長い尾根が原風景にあるので、象形文字の元になったかのような見事な円錐形に見惚れてしまう。母曰く、小学生が描いたような山。山of山認定を差し上げましょう。

少し時を戻すが、我が家の出発は遅い。いや、遅いわけではない。気づけば時間が経っているのだ。だが我が家も長い。そんなことは織り込み済みである。1日目には多くの場所を回らず旅館に辿り着きお風呂と美味しいご飯を食べる。ただそれだけで良いのです。

お宿は表参道にあることひら温泉 敷島館だ。なんとか日暮れ前に着くことができて安堵。予約の際に写真で外観は確認していたが実際に行ってみると想像以上に立派な建物で気後れしそうだ。

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とはいえ部屋に案内され、煎餅と饅頭で一息つけばすっかり落ち着きを取り戻せる。やはり温泉宿に置いてある銘菓は旅の醍醐味だ。

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運転の疲れを癒すべく温泉にゆっくり浸かり食事処へ。茶碗蒸しが小田巻蒸しだったりするところで香川に来たんだなと感じる。知識としては知っていても何にでもうどん入れたら美味しいと思うなy…うまい…土瓶蒸しもお上品なお味。二郎系ラーメンのように口に入れた瞬間脳髄に直接ガツンとくる美味しさと比べて、和食のコース料理は染み入るような美味しさが良いですね。隣の有名な酒蔵さんの日本酒も旅館バージョンのラベル。日本酒は詳しくないけれどたまに特別なところで飲むとなんにせよ美味い。

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還暦を迎えた父と母は積もる話もあるだろうと同じ部屋にした都合、私は姉と二人部屋。運転の疲れもありベッドに潜りうつらうつらしていると、夜行性の姉が友人と通話をしながら第五人格をゴリゴリプレイしている。物騒な会話を尻目に眠りに落ちる。

朝目覚めると7時を過ぎたあたり。早起きして父とこんぴらさんの石段を登り朝日を見ようと約束をしていたが叶わぬ夢だったようだ。おふとんが私を離してくれない。這い出して母に確認すると父はもう一人で登って行ったようだ。後を追って山道を登る。寝起きの体には過酷な石段がずいぶん上の方まで続いているのが見えて心が折れそうになる。階段を登る足が重いのは断じて運動不足などではなく約束を反故にした一抹の罪悪感のせいだ。きっとそうだ。

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中腹から眺める景色も十分きれい。もう帰ってもいいかな…いや、上には敬愛する父が待っているはず。諦めてはならぬ。

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今年は紅葉をたくさん観れている。季節的にはもう終わっていく季節だがまだまだ鮮やか。先日の丹生都比売神社では紅葉がほとんどでしたが銀杏の木もあって鮮やか。

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ちょうど上から降りてくる父と合流し記念撮影をする。寝坊くらいで怒るような父ではないので和気藹々と良い景色をバックに記念撮影。三脚を持ってきてよかった。朝の弱い姉と膝の悪い母は置いてきてしまったがみんなで登れるような機会も今度あればいいと思う。数年先を見越した父と母の体づくりのための施策を進めてはいるが少し脚力がついてくれば山登りも良いかもしれない。

チェックアウトを済ませて帰りは瀬戸大橋を越えて直島へ。普段通り過ぎるだけの道や橋も少し立ち止まって眺めてみると大きな存在感があります。巨大な建造物にはそこにあるだけで発展の営みに思いを寄せることができて良い。実用に振り切ったモニュメントだ。

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直島の地中美術館は展示作品は多くないがどれもインパクトの大きいものばかりで非日常を体感した。鑑賞を終えて帰りの船に乗る頃には綺麗な夕日が。島の中だけ違う時間が流れているよう。今度来るときはもう少しゆっくり過ごせるといいな。

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折に触れて家族とこういう時間を持つことはやはり大事だ。家族の関係も知らぬ間に変化している。自分が大人になったとはまだまだ思えないが幼い頃ほど無邪気でいることはできない。これからのことを思い直すにも良い家族旅行になったと思う。

改めて還暦おめでとう。これらかも健康で日々楽しくありますよう。